日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

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2023年3月14日話をきちんと聴く際の注意点は?



★『話し方』より『聴き方』の方が大事


『人は話し方が9割』という本は2022年に最も多く売れた本になりました。大変なベストセラーですので読まれたことのある方も多いと思います。その続編で『人は聞き方が9割』という本があります。私は両方とも読みましたが、『人は聞き方が9割』の方により感銘を受けました。話をすること以上に話を聴くことは円滑なコミュニケーションを取る上で大切だな、と改めて思った次第です。そこで、今回は話を聴くことについてお話したいと思います。
ところで、『聞く』という言葉は意識しなくても耳に入ってくる音を『聞く』という意味があります。一方、『聴く』という言葉は人の話を意識的に注意して『聴く』という意味があります。従って、ここでは以後、『聴く』という言葉を使います。





★話を聴くのは噛み合う話をするために大切なこと


皆さんは「話し上手は聴き上手」という言葉を聞いたことがありますか? 話し方の本などを読むとこの言葉をよく目にします。解釈は色々あるようですが、私はこの言葉を次のように解釈しています。


話しがうまいと思ってもらうには聞き手が話に納得し、共感してもらうことが必要です。そのためには、話し手は自分の考えや感じていることを、聞き手も同様に考えたり感じたりできるように話さねばなりません。また、聞き手の考えや感覚に沿って話をせねばなりません。つまり、聞き手の感情や思考を掴んでそれに沿って話しをすることが話し上手の前提になるわけです。聞き手の感情や思考を掴むには、当然ながらそれらを掴むまで聞き手の話を聴くことが絶対に必要です。まず、相手の話を、相手の立場に立って聴いて、相手が何を考え何を感じているのか、しっかり掴みます。そして、掴んだ相手の感情や思考に沿って話しをするのです。


このように、人の話を聴くことはコミュニケーションを円滑にする上でとても大切なことなのです。
では、話を聴く際にどういうことに注意すれば良いのでしょうか。



★相手の話を肯定的に受けとめる


1つ目は、人の話を肯定的に受けとめながら聴くことです。
私たちは基本的に自分中心に物事を考えたり受けとめたりします。自分の意に沿わないことや間違っていることを言われると、
「いやいや、そうじゃないよ!」「そんなこと言うけどさ~」
などと否定的な反応を示してしまいます。しかし、こういう反応をされるとまず間違いなく相手はいい気持ちはしないので、話をしなくなってしまうでしょう。これでは円滑なコミュニケーションにはなりません。
相手の話をきちんと聴くためには、
「なるほど」 「そうですね」 「確かに」
と、まず相手の話を肯定的に受けとめることが必要です。例えその話が事実と違っていても「あなたはそう思っているんだね」という気持ちでまずは受けとめましょう。



★相手の言いたいことを掴むまで聴く


2つ目は、相手の言いたいことを掴むまで聴くことです。
相手が「AだからBでCになったけど、結局Dになった」という話をしている時、私たちは途中のBまで聴いて「ああ、この人はBになったということが言いたいんだな」と思い込み、途中で割り込んで自分の話をし始めることがあります。これでは話は噛み合いませんし、相手も気分を害してしまいます。相手の話が余り上手でなかったり、話が長かったりすると途中で口を挟みたくなりますが、そこは我慢して相手の言いたいことを掴むまでしっかりと話を聴きましょう。



★相手の事情や背景に気を配る


そして3つ目は、相手の事情や背景に気を配ることです。
例えば、上司が会議に遅れてきた部下に「何やってんだ!10分も遅刻だぞ!この会議を軽く見てるのか!」といきなり叱責したとします。もしその部下が、大事なお客様との商談を成立させたが意外に話が長引いてしまったので会議に遅れてきたのだとしたら、どうでしょうか? その事実を知った上司は上のような言い方をしたことを後悔するに違いありません。また、この一言でその部下との人間関係も悪くなってしまうでしょう。
この場合、部下に「どうして遅れてきたの?」と話を聴くようにすればこのようなことは確実に避けられます。自分の思い込みを避けるために、相手の事情や背景を確認するようにしましょう。


以上、話を聴く際の注意事項を3点お話しました。コミュニケーションを円滑にしてより良い人間関係を築くために、まず相手の話をしっかり聴くことを意識してみてください。



★話の聴き方を学びましょう!


日本話し方センターのベーシックコースでは、話を聴く、ということも講義やトレーニングを通して学んでいただいています。ぜひ一度無料体験教室にお越しください。

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